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痛みの恐怖回避モデル(The Fear Avoidance Model of Pain)


BPS modelの慢性疼痛で、疼痛が慢性疼痛に影響を及ぼしうる経路のひとつの案がThe Fear Avoidance Model(恐怖回避モデル:FAM)です。

The Fear Avoidance Modelは、腰痛(LBPが)一部の患者で発現し、持続すること(慢性化)を説明するために1983年に提唱されました。

The Fear Avoidance Model(恐怖回避モデル)

The Fear Avoidance Modelでは、痛みに関連する障害は、恐怖に関連する認知、感情、行動のプロセスが相互に作用して周期的な連鎖が起こるとしています。

The Fear Avoidance Modelの基本的な概念は、痛みへの恐怖が有害な結果の連鎖をもたらすというものです。

このモデルでは痛みに対する、2つの行動パターンとして「対峙(Confrontation)」「回避(avoidance)」が仮定されています。

対峙(confrontation)は時間の経過とともに恐怖を最終的に減少させます。

これとは対照的に、回避(avoidance)は恐怖の維持や増幅につながり、結果として制限や障害が生じます。

シンプルにいえば疼痛に対して回避行動を取るか、対立行動をとるかで結果が変わるということです。

Fear Avoidance Modelの妥当性

数千人の患者を含むFAM(The Fear Avoidance Model)に関する最近のシステマティックレビューにおいて、6ヵ月未満のLBP患者のコホート内で、恐怖回避行動は疼痛および機能障害の増加、治療成績全体の不良、職場復帰の可能性の低下と関連し、恐怖回避の低下は転帰の改善と関連するという質の高い前向きのエビデンスがあると結論しました。

公表された研究の全体で3/4以上が、恐怖回避のベースライン値が治療成績に有意に影響し、恐怖回避の高い参加者はより多くの疼痛および障害を報告し、治療後の職場復帰の低値を示したことを明らかにしました。

FAMは仮説上の危険因子(破滅的思考、恐怖、憂鬱)間の周期的な関係を強調していますが、最近の知見は、重複した因子間の累積的な相互作用の重要性を支持しています。

つまり多数の危険因子を持つ患者は、長期にわたる疼痛および障害を発現する可能性が高いです。

FAMの周期的な関係は臨床的意味を提供するが(例えば、恐怖の前に破滅的な状況に対処すること)、実際は周期的より相互依存的であるため、累積的なリスク指標が治療のより重要な標的である可能性が示唆されます。

慢性疼痛の複雑さを考えるとFAMが疼痛関連障害に至る普遍的な経路を特定できていないことはおそらく驚くべきことではありません。

さらに、FAMの因子(痛みや破滅への恐怖など)と疼痛強度の時系列的変化や損傷後の職場復帰などの転帰との間にみられる独特の関連性はそれほど大きくありません。

例えば、ある患者が急性疼痛エピソードの間に実際に強い恐怖感を経験することがあり、それは後に回避行動および障害をもたらしますが、別の患者は先に気分障害を有し、その結果、恐怖および破局的なものなど、疼痛に関連する負の認知を増幅することがあります。

FAMの周期的なモデルは若干の不適切さはあるものの、FAMの構成因子は痛みの原因、痛み増加の原因、痛みの持続に関わるため臨床において忘れてはいけません。

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