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徒手療法と運動療法の問題提起


我々治療家は徒手療法や運動療法を疼痛に対する手段として用いますが、その過程で生まれる問題点は数多くあります。

それらを一度見直していきます。

正常な可動域・異常な可動域とは?

徒手療法や運動療法では参考可動域がよく用いられます。

参考可動域未満の可動域は過少可動性(hypo mobility)とされ、参考可動域を越える場合は過剰可動性(hypermobility)とされます。

これらはしばしば関節への過剰な負荷や代償動作(trick motion)の原因とされます。

確かにいくつかの研究ではhypomobilityhypermobilityが特定の怪我の原因であることを示唆しています。

ただそれだけではいわゆる異常な可動域が身体にとって総合的に害であるとは分かりません。

例えば股関節インピンジメント症候群(FAI)では股関節屈曲時にインピンジメントが生じるため股関節の屈曲は制限されてもおかしくありません。

その可動域制限に対してmobility exerciseを用いて屈曲可動域を向上させたのであればインピンジメントは強まり悪化のするリスクがあります。

FAIの様な病理学的なものでなくてもこの様な適応による可動域制限は存在している可能性は否めません。

この適応を無視して可動域を変化させるのはリスクを伴います。

にも関わらず臨床においてはいわゆる異常な可動域はまず修正しようという試みがよくみられます。

慢性痛、あるいは持続性疼痛においてはさらに可動域の臨床的意義に疑問が生まれます。

慢性痛と可動域の関連性はありません。

しかしながらしばしば慢性痛治療の検査に可動域検査が用いられ、さらに治療効果のチェックに可動性の拡大が用いられます。

患者が抱える痛みを無視して可動域を検査することに意義はあるのでしょうか?

【以上から考えるべき問題】

  • 正常な可動域とは?
  • 異常な可動域とは?
  • どこからが異常な可動域といえるの?
  • 可動域制限は修正しても良い?
  • 可動域を修正することに意味はあるの?
  • 異常のレッテルを貼られた患者は意味のない治療を受けているのではないか?

 

痛みが取れたから効果があるといえるのか?

治療はしばしば施術後の疼痛改善の大きさを治療効果の評価として用います。

大抵の場合、その効果は長期的に持たず、20-60分程度で元に戻ります。

これに対して施術者は、何度か同じ治療を受かることで改善すると説明します。

たった数十分の効果しかない治療法を何度も行ったところで本当に効果があるといえるのでしょうか?

痛みの治療効果は短期的にみて判断することはできないはずです。

長期的な効果は長期的に観察してのみ分かります。

短期的な痛みの改善度に着目するあまり、意味のないことをしている可能性は十分あります。

歴史的にみれば長い間、慢性痛に対して徒手療法が使われてきました。

しかし未だに慢性痛に対して徒手療法が成功した例はありません(自称は除く)。

これも短期的な可動域や疼痛の変化に惑わされた結果とはいえないでしょうか?

短期的に変化してしまうから徒手療法がなまじ高い効果があるように見えてしまうのです。

そして施術者も患者も過大評価してしまうのです。

【以上から考えるべき問題】

  • 短期的な疼痛効果を慢性痛に考慮する必要はあるのか?
  • 慢性疼痛に徒手療法を行う必要はあるのか?
  • 同じ治療を繰り返すことで本当に効果が持続するようになるのか?

治療理論はほとんどが机上の空論?

治療に関するあらゆる治療メカニズムや治療理論はほとんどが仮定に基づいています。

例えばPNFによる神経筋の促通はエビデンスがありません。

例えばjoint by joint theoryや運動連鎖に基づいた治療は論理的破綻を起こしています。

ただ、これらの治療は「もっともらしい」という理由だけでしばしば盲信され使用されています。

信じるだけの根拠がないのです。

結論がないのだから、仮定に基づくしかありませんが、よく仮定ということを忘れ(あるいは知らず)盲信している施術者は多いです。

【以上から考えるべき問題】

  • そのメカニズムは正しい?
  • その理論は正しい?

構造に着目する理由

現在、筋の硬さや姿勢、可動域が慢性痛と関連することはほぼありません。

疼痛治療では組織の硬さ、制限、姿勢に着目するケースがあまりにも多いです。

これら構造に着目する必要は本当にあるのでしょうか?

骨格の歪み、筋緊張、可動域制限を主な慢性痛の原因と決めつけてしまってはないでしょうか?

【以上から考えるべき問題】

  • 筋緊張は慢性痛の指標に必要?
  • 骨格の歪みは慢性痛の指標に必要?
  • 可動域制限は慢性痛の指標に必要?

患者満足度?

患者が治療効果に満足したとします。

果たしてそれが患者の為になるでしょうか?

患者は治療を比べることができません。主観から効果性を判断する方法がありません。

悪徳宗教で幸せを感じる人がいるように、その患者にとって悪いことでも患者は満足感を得ることがあります。

患者満足度≠患者健康度なのです。

これは施術者のジレンマでもあります。

施術者が良いと思った治療が患者に受け入れられないことはしばしばあります。

そして施術者が良くないと思っていることを患者が求めてくることがあります。

【以上から考えるべき問題】

  • 患者満足度に従うべきか?
  • 患者が求めた施術をするべきか?
  • 患者が納得してない施術をしても良いのか?

おまけ:接骨院は2040年になくなる

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