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中枢性感作症候群の鑑別【慢性痛の検査法】


中枢性感作(Central Sensitization)は中枢神経系が過剰に興奮することによって、疼痛などを増加させることをいいます。

中枢性感作は慢性痛との関連も示されているため、慢性痛に対しては中枢性感作の評価が必要となります。

急性痛とも関与します。

具体的な中枢感作の定義

大まかにいえば疼痛に対し過敏になる(中枢性過剰興奮性:central hyperexcitability)のが中枢性感作ですが、定義もしっかりあります。

「痛覚過敏を誘発する中枢神経系内の神経シグナル伝達の増幅」

an amplification of neural signaling within the central nervous system that elicits pain hypersensitivity

「正常または閾値以下の求心性入力に対する中枢神経系の侵害受容性ニューロンの反応性亢進」

increased responsiveness of nociceptive neurons in the central nervous system to their normal or subthreshold afferent input

「単峰性および多峰性受容体からの入力に対する中枢神経の反応性の増大」

an augmentation of responsiveness of central neurons to input from unimodal and polymodal receptors

Central Sensitization Inventory(日本語版)を用いた評価法

中枢性感作の評価ツールにはCentral Sensitization Inventory(CSI)があります。

CSIの質問項目は以下のようになっています。

1.眠りから覚めた時に,疲れていてすっきりしない感じがする

2.筋肉に硬さや痛みを感じる

3.不安発作がある

4.歯を食いしばったり,または歯ぎしりをしたりする

5.下痢や便秘の問題を抱えている

6.普段の生活での動作を行う上で,助けが必要である

7.明るい光に過敏である

8.身体を動かすと,すぐに疲れる

9.全身のあらゆるところに痛みを感じる

10.頭痛がある

11.膀胱の不快感と排尿時の灼熱感の両方,またはいずれか一方を感じる

12.よく眠れない

13.集中することが難しい

14.乾燥肌や痒み,発疹などの皮膚の問題がある

15.ストレスで身体症状が悪化する

16.悲しんだり,または憂鬱な気分になる

17.元気が出ない

18.首と肩の筋肉が緊張している

19.顎に痛みがある

20.香水などのある特定の匂いでめまいや吐き気がする

21.頻繁に排尿しないといけない

22.夜に寝ようとする時,あしに不快感や落ち着かない感じを感じる

23.物事を思い出すことが難しい

24.子供の頃に心的外傷(トラウマ)を経験した25.骨盤周辺に痛みがある。

この25の設問に対し、

まったくない、まれにある、ときどき、頻繁に、いつも

5つの中から直感的に当てはまるものを選択してもらいます。

その後、

まったくない(0点)、まれにある(1点)、ときどき(2点)、頻繁に(3点)、いつも(4点)とし、合計点を算出します。

カットオフ値(陽性となる値)は40点以上です。

しかし40点以上か以下かで中枢性感作か決めるより中枢性感作はスペクトラム(中枢性感作かどうかに境界がない)と理解する必要があります。

大まかにみれば、

0-29点をsubclinical30-39点をmild40-49点をmoderate50-59点をsevere60-100extremeと判断します。

この評価法以外にも中枢性感作と判断するポイントがあります。

その他の中枢性感作の評価法

下肢などに神経様症状があるとします。

その症状が、びまん性だったり広範囲に出ている場合は神経因性疼痛ではなく、中枢性感作を疑います。

病変がなくびまん性であるような疼痛は中枢感作性疼痛の特徴の一つです。

中枢性感作の場合は非分節的に感覚障害が発生します。

そのためデルマトームやミオトーム、スクレロトームといった分節はそのために覚えておく必要があります。

神経根症ではデルマトームなどの分節は障害の神経根に一致しないケースはよくみかけます。その場合は中枢感作性を疑います。

神経因性疼痛か中枢感作性疼痛かのスクリーニング検査をまとめます。

1,神経系の病変または疾患の病歴があるか?

2,併存疾患がある時、神経因性疼痛と関連しているか?

3,痛みの分布は神経学的に論理的であるか?

4,感覚機能障害は神経学的に論理的であるか?

5,痛みは焼けるような痛み、チクチク(sooting/pricking)する痛みであるか?

これらから論理的に神経因性かどうかを判断します。

侵害受容性疼痛様症状も中枢性感作かどうかを疑います。

侵害受容性疼痛は増悪因子や寛解因子に比例した機械的解剖学的性質を持ちます。

また特定の組織のテストによる疼痛誘発で一貫して比例した機械的解剖学的パターンを持ちます。

つまり増悪因子や寛解因子が予測不能なパターンであったり、検査において一貫性のない非機械的、非解剖学的パターンであれば中枢感作性疼痛の可能性が高いです。

このように

身体所見と症状が一致しないようなものは中枢性感作を疑います。