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バイオテンセグリティ(biotesegrity)を一度見直す【液体筋膜と固体筋膜】


完全性を維持する張力をTensegrityと呼ぶ。

建築の原理に由来し、1961年にFullerによって提案された。

構造は一定の張力のバランスと不連続な圧縮の存在によって安定化される。

この組織は自己安定化しており、構造全体に加えられた力を伝達しながら、ある程度の柔軟性で張力変化を管理することができる。

この原理は、身体システムから単一細胞まで、生きているものの中に見出すことができる。

体のシステムに応用されたのは1977年で、2007年に引張構造としてのビジョンを再び考慮し生物学的なモデルを提案した。

このモデルは生体における自己調節の原理の存在を示唆する。

そこでは一定の張力は筋組織によって表され,骨/関節は不連続な圧縮の役割を果たすとされる。

細胞に適用されるバイオテンセグリティの概念は、1993年にIngberによって初めて提唱された。

バイオテンセグリティ

バイオテンセグリティブモデル(The biotensegretive model)は、細胞またはシステムが外部または内部の力を感知し、その機械的情報を細胞またはシステムの内部/外部に伝達して、局所的および全身的機能が安定したままでいることを可能にするというものだ。

力のベクトルが通過するときに細胞が変形すると、形の変化が一連の代謝的およびホルモン的事象を活性化して細胞の脆弱性を低下させ、細胞が機能し続けることを可能にする。

この機構は機械伝達(mechanotransduction)とよばれる。

ECM(細胞外マトリックス)は細胞との間の力の伝達や、微小管と協同した不連続な圧縮の維持に重要な役割を果たす。

ECMは、体のすべての器官や組織と同様に、すべての細胞を囲む三次元網を形成する。

ECMには独自の生物学的強度がある。

ECMは膜貫通型タンパク質(インテグリン)を介して細胞およびそのDNAと連絡し、集合してfocal adhesion complexesを形成する。

このシステムによってすべての組織の情報ネットワークを構築することができる。

固体筋膜(solid fascia)のバイオテンセグリティ

固体筋膜や液体筋膜については以前の記事を参照して欲しい。

筋膜に関するバイオテンセグリティブモデルの開発は、筋協調から来ている。

筋膜の連続体は筋肉(筋上膜、筋周膜、筋内膜)を包み込み浸透させ、直接または間接的に骨や関節、腱、靱帯を介して筋肉を連結し、全身の情報伝達と収縮組織全体に及ぶ力の伝達を可能にする。

この時神経系の協力を得ているのは忘れるべきではないだろう。

そして筋肉内、筋肉間、筋肉外へ力が伝わる。

筋膜は一定の張力を示し、関節と骨は不連続な圧迫の役割を持つ。

強固な筋膜は生体親和性を備えているため、現在の必要性に応じてさまざまな体の領域を常に調整できる。

これは、張力要素が持つ特性であり、「prestress」または「pretension」と呼ばれる。

生体親和性の概念を要約としてIngberg

「これは身体の重さを支える物理的に統合された枠組みであり、外部の力に抵抗するように素早く調整することができ、環境内で自由に動くことができる。しかし、周囲の張力を発生させる筋肉や張力に抵抗する腱、靱帯、筋膜がなければ、骨や軟骨は直立した体をほとんど支えられないだろう。」

と言った。

液体筋膜(liquid fascia)のバイオテンセグリティ

赤血球は受け取った機械的情報に応じて形を変えることができ、ストレスがなくなると静止状態に戻ることができる。

その膜は脂質の二重層からなり、膜貫通型タンパク質によって補強されている。

これらのタンパク質は短いアクチンフィラメントで膜と細胞質をつなぎ、DNAに達する複雑な網をつくる。

赤血球は血管の太さや血流の速度と方向に応じて変形する。

膜は細胞骨格と同じように形を変え、おそらくスペクトリンの弾性的な蓄積のおかげで赤血球は元の形に戻る。

赤血球は機械的な力を吸収し、それを細胞内に分配し、その機能を遂行して形を回復できる。

アクチンとスペクトリンは一定の張力を与え、脂質の二重層は圧縮を与える。

その形状を変形させる能力は、酸素を組織に分配し、狭い血管でも粘性を維持するように、その機能に不可欠である。

張力や形の変化を正しく感知できるのは、おそらくイオンチャネルとして働く膜貫通型タンパク質(Piezo1)の存在による。

リンパを最も代表する細胞はリンパ球である。

リンパ球は機械的な力(流速、収縮組織など)に耐え、その形を変える。

アクチンなどによってリンパ球の細胞骨格は強い弾性がある。

細胞を変形させる機械的な繋がりは核に到達し、核も変形させる。

原子核は変形を防ぐブレーキとして機能する。

リンパ球の形は球状だが、外部からのストレスで半円に変化することもある。

 

参考文献

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