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鍼は不妊に対して効果はない【エビデンス(論文)をもとに解説します】


以前美容鍼の効果性に根拠はないっていう記事を書いて多くの反響をいただきました。

今回は「鍼は不妊治療効果はない」という話をします。

この記事は一般向けにも専門家向けにも書いているため先に大まかな結論から書きます。

鍼の不妊治療の効果

824人を対象に不妊治療効果があるか調査した研究があります。

そこでの結論として「効果が認められません」でした。

鍼における不妊治療の論文

論文の内容の前に今回紹介する論文の種類を説明します。

この論文はランダム化比較試験(Randomized controlled trial)と呼ばれるもので、論文の中では質の高いものです。

個人の経験談などから容易に覆すことはできません。

この研究は824人を対象に行われました。

848人の女性は424人の鍼を受ける群と、424人の偽鍼を受ける群に分けられました。

このうち24人がこの研究に同意しなかったため、合計824人になりました。

研究に参加した女性の平均年齢は35.4歳(18-42歳)です。

彼女らに体外受精を行いました。鍼での介入はDelphi法と呼ばれるものです。

結果は

鍼群で74/405 (18.3)が出産、

偽鍼群で72/404 (17.8)が出産

この二つには有意差はありませんでした(2人の差は誤差の範囲)。

研究はこれだけではありません。

上記の研究(1)は2018年のものです。これ以外にも

2017年の研究では、多嚢胞性卵巣症候群(PCOSpolycystic ovarian syndrome)の女性の不妊治療に鍼灸を用いることを支持する根拠がないことがわかり(2)、

2016年には男性の生殖能力は鍼で効果がある根拠が見つかりませんでした(3)

鍼によって不妊治療を助ける根拠はありません。

鍼による不妊治療は根拠に基づかないだけでなく、妊娠という悩みにつけ込んだ悪質なものです。

鍼の効果性に関する誤解

鍼の研究について何人かの方から意見がありました。

そこで鍼の骨格筋痛に対する効果の研究と不妊治療の研究は全く違うことという話をして誤解を解いていきます。

骨格筋痛の研究では、鍼と偽鍼の効果の違いから鍼の効果性を検討するのは難しいと言われます。

その理由はどこまでが鍼でどこまでが偽鍼か分からないからです。

そのため、プラセボと言われているものも実は鍼の効果ではないか?といえるわけです。

しかし不妊治療は違います。不妊治療にはプラセボ効果すら認められていません。

そのため、プラセボも鍼の効果ではないか?と言われても結果、効果ないとなります。

つまり不妊治療でその反論は意味をなしません。

参考文献

(1)Smith CA,de Lacey S,Chapman M,et al. Effect of Acupuncture vs Sham Acupuncture on Live Births Among Women Undergoing In Vitro Fertilization: A Randomized Clinical Trial. JAMA. 2018;319(19):1990–1998. doi:10.1001/jama.2018.5336

(2)Xu L,Qiao X. Acupuncture is not as effective as infertility treatment in women with PCOS. Evid Based Med. 2017;22(6):229–230. doi:10.1136/ebmed-2017-110828

(3)Yao DF,Mills JN. Male infertility: lifestyle factors and holistic,complementary,and alternative therapies. Asian J Androl. 2016;18(3):410–418. doi:10.4103/1008-682X.175779

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