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経穴は存在するのか?【構造体としての経穴】トリガーポイントとの関連は?


鍼灸師が経穴をどういったものとして解釈しているかは意見が分かれると思います。
構造的なものなのか、現象的なものなのか、またはスピリチュアルなものなのか。

鍼灸師以外の人からすればその怪しさは否めないでしょう。

この記事は経穴の有効性について議論しません。

経穴の存在について書いていきます。

経穴の位置

しばしば鍼灸師のいう経穴の位置は変動します。
特に世代が変わると、メジャーな経穴(例えば合谷など)でも大きく場所が変わることがあります。

鍼灸師同士であっても経穴名のみの情報から同じ部位を示すことはできません。

2019年のクリティカルシステマティックレビューでは
「資格のある鍼灸医の間で経穴の位置のかなりの変動が報告されている」と結論され、「ポイント位置の正確さは安全で有効で信頼できる治療および有効な再現性のある研究結果のために不可欠である。」と指摘しています。

Godson DR, Wardle JL. Accuracy and Precision in Acupuncture Point Location: A Critical Systematic Review. J Acupunct Meridian Stud. 2019;12(2):52–66. doi:10.1016/j.jams.2018.10.009

構造としての経穴

経穴、経絡、気は解剖学者や生理学者には認識されていません。

もしなんらかの構造体が経穴だとした場合、経穴は触診可能です。
反対に経穴が構造体ではない場合、触診のみによって見つけることは不可能です。

例えばトリガーポイントは構造体というよりは感作(感覚の変化)の問題です。そのためトリガーポイントは触診のみで判断できず、関連痛や過敏さが重要となります。

鍼灸師が触診によってのみ、過敏性などを患者に聞くことなく探しているのだとすれば経穴は何らかの構造体ということになります。
実際どうでしょう、鍼灸師は経穴を探すとき、自身の触診感覚に依存している様子がみて伺えます。

2017年に鍼灸雑誌「医道の日本」で「ツボの捉え方」の特集が組まれました。そこでは88人の鍼灸師にツボの捉え方をインタビューしています。

そこで触診に関して言及している鍼灸は陥凹部をツボとして捉えているケースがあります。

何人から実質的に鍼灸師は経穴を構造体として捉えています。

2002年に上腕部での経穴の位置を検証した研究では、経穴の8割は筋間、または筋内の結合組織面に一致するとしています。
これは経穴が陥凹部であることを支持するようにみえます。

Langevin HM, Yandow JA. Relationship of acupuncture points and meridians to connective tissue planes. Anat Rec. 2002;269(6):257–265. doi:10.1002/ar.10185

しかしながら、最初に挙げた研究で言われている様に「鍼灸医の間で経穴の位置のかなりの変動が報告されている」のでこの研究の正確性も高いとは言えません。

トリガーポイントと経穴

過去(1977年)にはトリガーポイントと中国のツボの一致率が71%だったと報告する研究があります。

Melzack R, Stillwell DM, Fox EJ. Trigger points and acupuncture points for pain: correlations and implications. Pain. 1977;3(1):3–23. doi:10.1016/0304-3959(77)90032-x

しかし2003年の研究では一致率が17~18%と報告されました。

Birch S. Trigger point–acupuncture point correlations revisited. J Altern Complement Med. 2003;9(1):91–103. doi:10.1089/107555303321222973

さらに2008年には一致率が95%と報告されています。

Dorsher PT. Can classical acupuncture points and trigger points be compared in the treatment of pain disorders? Birch’s analysis revisited. J Altern Complement Med. 2008;14(4):353–359. doi:10.1089/acm.2007.0810

このようにトリガーポイントと経穴の一致率は一貫性がなく、信頼できません。
さらに根本的な話をすると、そもそもトリガーポイント自体一貫性がありません

トリガーポイントと経穴の一致率の研究から経穴の存在を証明できません。

仮に経穴とトリガーポイントが類似するものだと仮定すると、やはり触診によってのみ見つける事が不可能であるため、矛盾が生まれます。
経穴とトリガーポイントは別物と考える方が自然です。

唯一、一貫性があるのは、ともに根拠のない概念ということです。

パルペートリーイリュージョン(触知錯覚)

鍼灸師は触診力は高いでしょうか?

しばしば鍼灸師は触診技術を過信しているように見える事があります。
鍼灸師が実体不明瞭な経穴を探すとき、それが求めているものである確率は本当に高いのでしょうか?

採血では目に見える血管に注射を刺す訳ですがしばしば失敗します。

経穴は目視できません。

看護師やドクターは血液が流入することを確認することで目的の深度にたどり着いたことを確認します。
経穴にはその基準が存在しません。

しばしば得気(de qi)の有無や鍼先の感覚を目安にしますが、これは常に特異的に現れるものではありません。適当に鍼を打っても見つかります。
その区別が本当につくでしょうか?

目的の経穴がみつけられない時はどうなりますか?
触知錯覚によって都合の良い様に経穴を決めていませんか?